2002年02月07日朝日新聞朝刊社会面記事


■アジアカー上陸――タイ製、富士重工の
  「トラヴィック」
 消費者、すんなり受容 

 昨年、東南アジア製の乗用車がひっそりと日本に上陸した。富士重工業のミニバン「トラヴィック」。日本の自動車産業にとって、アジアカーの本格輸入は初めてだ。消費者の反応、アフターケアなど、この車を取り巻く状況は「逆輸入時代」の未来の状況と課題を提起している。

 トラヴィックは富士重工の大株主、米ゼネラル・モーターズ(GM)のタイ工場で造られ、日本に運ばれる。GM傘下の独オペルが開発したミニバンで、マークを「スバル」に取り換えたものだ。

 品質にこだわる日本の消費者の意識が、日本メーカーがアジアからの逆輸入に踏み切れない大きな足かせといわれてきた。富士重工も「一番心配したのは、タイ製ということをお客さんがどう受け止めるか」(竹中恭二社長)と危ぐした。

●変わる意識

 東京都内のスバル販売店員は「客に聞かれなければあえてタイ製ということは言わない」。テレビコマーシャルも「ヨーロッパ発想」とうたい、欧州で開発されたことを強調している。品質面を気遣った富士重工は、発売前にタイに1カ月半、4人の専属検査員を派遣。塗装のしかたなどを大幅に見直させた。

 ところが昨年8月に発売してみると「消費者の意識は進んでいた」(工藤一郎・商品企画本部副本部長)。同社が実施した顧客への意識調査で「アジア製が気になる」との答えはほぼゼロ。都内の販売店でトラヴィックを眺めていた30代の会社員は「家電などがアジアから入ってくる時代、全然気になりませんが」と話した。

 ただし販売台数は月約500台と、目標の半分に低迷している。富士重工が問題視しているのは納車期間。日本に在庫がなければ3カ月待たされる。これは客を逃す要因になる。また部品の集積基地はシンガポールにあり、交換部品が届くのが、ものによっては2カ月かかる。こうした物流面の問題が今後の課題に浮上している。

 ●流入加速か

 とはいえ日本へのアジアカーの流入は今後、加速しそうだ。タイの人件費は日本の約10分の1。部品集積も進み、日本への輸送費を含めても1割は日本より安く造れる。トラヴィックの価格も基本モデルで199万円と抑え気味だ。

 こうした利点を生かし、ホンダは今年、タイから小型車を日本に逆輸入する。GMも「商品特性をみてタイ製自動車の日本への輸出を増やしたい」(レイモンド・グリッグ日本GM会長)という。

 逆輸入は国内雇用への影響をはらむと同時に、部品メーカーにも衝撃を与える。トラヴィックの部品の約4割はアジア製。多くはタイで調達されたものだ。「今回使った部品は今後も比較検討の対象になる」(工藤副本部長)といい、安いアジア製部品が日本のライバルに浮上したことを意味している。
2002年02月07日私の思うところ


■独OPEL設計−GMタイ工場生産の
  「なんちゃってSUBARU」



 今や家電製品では東南アジア製の製品は常識。逆にトラヴィックの登場で,日本の自動車が全て国内生産であったことに改めて気が付いたほど。
今後,自動車にも逆輸入の波が押し寄せることになるのであろう。

 スバルオリジナルなんてまったくない,そのまんまザフィーラである。マークを取り換えただけ。
足回りチューニングもフロントショックをOPELのストックパーツから選んだだけ。

 ヨーロッパやアメリカメーカの車でさえ何処で作られているかわからないこの時代に,いまさら・・・。
メーカの代表にこんなことを言わせる日本の消費者も時代遅れ。


●変われない業界意識

 言わないよりは言っておいた方が後々トラブルにならなくてよいと思う。
塗装はやはりメタリックの反射にムラがあったりする。通常は気が付かないが,うるさい目で見ると差があるらしい。
車を装飾品のように考える人には薦められない。そういう人にはこの車の良さは理解してもらえないと思う。
まだまだ,TRAVIQのユーザは過去に外車経験者が多い,純国産車ユーザにとっては一種のカルチャーショックになるのではないか。チャレンジするには最高の条件(国産ブランド)が揃っているのだが。



 スバル営業マンの「所詮スバルの車ではない」的な意識に問題が多い。客は本能的にその態度に不安を覚えて他の車へ流れてしまう。交換部品の物流は大きな問題,レガシーと同様に国内にストックを持つべき。メーカのスタンスが営業マンの態度に如実に表れていると感じられる。

 ●流入加速できるか

日本車の単なる海外生産モデルであれば私は買わない。トラヴィックにはドイツオペル社の設計思想やポリシーがそのまま生きていることに価値がある。そして価格が国産車並である点。タイ製のデメリットなど小さいものである。
日本車のスペック至上主義で中身がいい加減なのとは根本的に違い,常にドライバにとってやさしいことが安全に繋がるという設計が全体に感じ取れる。試乗してアクセルを踏んだ瞬間に感じると思う。低速域からコントローラブルな車は最近の日本車にはない。ブレーキも思ったとおりに効く。ブレーキアシストなんてごまかしは大きなお世話。
早く国内メーカもこのことに気が付くべき。スバルは幸運にも研究材料を手に入れたのだから徹底的に勉強するべきである。

そして消費者も本物を見分けられる大人になるべきである。